今年度3回目のプレミアム講座は考古:中でも埼玉県の近世考古に関するお話です。
講師は当館の中島萌学芸員。栗橋宿跡の複数の遺跡から出土した多数の遺物について解説していただき、近世遺跡特有の遺物情報のまとめ方が提示されました。いつもの平日開催とは異なる日曜日の開催、しかも県内の考古の話題でもあり、52名と多くの参加者が集まりました。


DSC_0808.JPG


 「近世考古学とは?」から始まり、栗橋宿跡の概要が先ず紹介されました。日光道中7番目の宿場で比較的小規模だが、道中唯一の関所を有し、利根川の渡しに絡む宿場ということで、江戸と日光や東北地域を結ぶ交通の要所にあたる位置が大きな特徴でしょう。また、最後に述べられたように文献資料との突合が今後の研究でも重要であることが理解できます。
 遺跡は「栗橋宿本陣跡」、「栗橋宿西本陣跡」、「栗橋関所番士屋敷跡」、「栗橋宿跡」など複数の遺跡から成る集合体ですが、特に本陣跡が遺物の出土品も多く注目です。ここは敷地境界を示す遺構が残っているほか、本陣としての機能以外に江戸時代の絵図に表れている商家としての区分も含んでいることが面白い。また、結髪具・化粧道具の出土が目立つ「栗橋宿跡」の紅猪口は瀬戸美濃系の器に色絵で独特の宝結びがあり、浅草諏訪町にある白粉紅問屋「紅粉屋諫蔵」の商品かとの推測を披露されました。
 最後に文献資料との突合に関して、久喜市の調査では大名・幕臣らとの応対の記録があるなど、出土文字資料や他の出土品の解釈も深めていけることに期待を抱かせてもらいました。 (nimo) 

カテゴリー 未分類
コメント 0
トラックバック 0