今回の行程は「梅の里」として有名な越生(おごせ)町の巨樹をめぐる「健康長樹」」というダジャレみたいなタイトルですが、これはれっきとした越生町推薦のウォーキングコースです。春は梅、秋はクスの大木というわけでしょうか。少し歩きますので募集の際に「健脚向け」を強調しすぎたためか、参加者は16名といつもより少なめでした。
越生駅から黒山行のバスに乗り「梅園小学校」で下車。目の前の越辺川を渡って、太田道灌創立で父の太田道新隠棲の地という「建康寺」を訪れます。関東管領上杉家一族の家宰として、関東にその名を馳せた太田道真は、息子の道灌とともに江戸城、岩槻城、河越城を築いたのち、越生に本拠を移しました。ここ大字小杉陣屋付近が、道真居館・自得軒の跡地と推定され埼玉県の旧跡に指定されているわけです。本堂の裏にイチョウの大木がありますが、越生は暖かいのか、まだ緑がやや残る黄葉でした。
続いて、源頼朝が戦勝祈願の寺として創建したと伝えられる最勝寺では招徳人望の神である福禄寿をお祀りしています。そしていよいよ大クス山の登山。といっても、谷川に沿った道は舗装されているのでそれほど苦労することなく約40分ほどで、ひときわ大きいクスノキの巨木が茂みのなかからその姿をあらわします。目指す大クスの巨木の前には家があり、庭に大量のマキが積まれていました。「大クス山」という地名表記がされていますが、この山自体が個人の所有ということでしょうか。一帯は、古くから豊富な山林資源を活かした山の生活で、このクスノキはその中で象徴の場所だったのでしょう。かなり古く100年以上前の1922年(大正11年)に埼玉県指定の天然記念物になっています。
大クスの周りは観光用?なのか、切り開かれていていて、幹の周囲には歩いて近づくための木製のデッキが造られていますので、危険な思いをせずに、幹にかなり接近して観察できます。幹の隣に人間が立つと、そのスケールがわかります。地上から5メートルくらいまでは巨大な幹に根を下した植物や寄生植物やらで小宇宙状態です。幹周り15メートル、高さ30メートル、樹齢は1000年以上と推定されていて、 昭和の「緑の国勢調査」で、全国巨木ランキング第16位、埼玉県では第1位に認定されました。
大クス見学後、山をぐるりと周回して越生梅園へ。ここで休憩・昼食。梅園にはウメの古木・魁雪(かいせつ)があり、曲がりくねった幹に数百年の樹齢を感じさせます。昼食後、通りを渡った梅園神社に参拝、ここも見事な参道と社殿です。全員で旧街道をあるき、駅近くでは良き時代の風情を残す多くの建物に感激しながら、越生駅で解散しました。