11月3日に主催講演会「大久保長安~鉱山開発・街道整備に残した実績と謎の生涯」を開催しました。この講演は今年の春ころから企画していたもので「江戸幕府創成期を支えた2人の総代官─伊奈忠次と大久保長安」を取り上げ、同じ講師である和泉清司氏(高崎経済大学名誉教授)により2回連続の講演になります。参加者は55名でした。

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大久保長安は、江戸幕府創成期を支えた総代官であり、特に世界遺産登録された佐渡金山(今年7月)や石見銀山(2007年)などの開発に手腕を発揮し、他にも中山道・東海道など伝馬交通制度の確立や検地・町立など幅広い業績で幕府の基礎を築いたとされます。

一方で、その死後に一族が過酷な断罪を受けるという波乱の生涯により多くの謎を残している人物でもあります。そのため、松本清張の『山師』などおおくの小説やドラマなどに登場する場合も多くは「悪役」です。講演会では、徳川幕府成立期の経済社会史研究の第一人者である和泉清司先生に、日本の基礎をつくったともいえるこの時代の「総代官」の役割や大久保長安の出自から死後の毀誉褒貶にいたるまでの活動や人物像を解説していただきました。

内容としては、大久保長安の甲斐時代から関ヶ原合戦後の関東などの領国支配、金山銀山開発の経過とその推移が及ぼした影響、さらに東海道、中山道などの伝馬・交通政策を詳しく説明。さらに家康大御所時代の「年寄衆」としての役割なども触れ、知られている以上のその実力ぶりを発揮したことに言及しました。最後に、死後の過酷な糾弾には、江戸幕府内の権力争いがあり、それに利用されたとして、その後、幕末以後には大久保長安の功績が見直されているものの、現在まで偏見が残っているとして、正しい評価をするべきと述べたのが印象的でした。

なお、この一回目の大久保長安に続いて伊奈忠次については、2025年2月に開催することにしています。

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