初回は民俗分野の服部武(はっとりたける)主任学芸員から、長年の研究対象である竹籠・笊・竹細工に関する講座です。
服部さんは現在は企画担当として我々友の会も大変お世話になっている方です。連日の暑さにめげない参加者が26名集まりました。
竹籠作りに関する意外性とは何でしょう? 古代からの時代的発展や専門職人に重点的に焦点を当てるアプローチや近代に入ると衰退一方というのが何となく感じていたイメージですが、それらを打ち消す事実を次々に披露されました。
日本に多い植物である竹を素材にしているからこその地域性や作り手や使われ方の特徴が、歴史的には短い期間かも知れませんが、近現代に花開いたというのが全体を通して理解できた一聴講者の受け止めです。現在からすれば中途半端な工業化かも知れませんが、作り手のアイディアの詰まった機械を生み出して量産性を高めたり、発達してきた鉄道輸送にかなり親和性の良いパッケージとしての使われ方をするなど、関わる人々の智恵が各所に詰まっていました。
また、綿花とも鉄板ともプラスチックとも異なり、工業的な展開を制約されながらも、ある時期まで農家の副業として重要だったというのが竹籠作りの性格に結びついています。今後、工芸的な観点から見直されていく分野としても確かに面白いものになるのでしょう。
涼しい講堂での熱いお話は、終わりの時間が少し気になるほどでしたが、楽しく聞かせていただきました。 (nimo)