1968年の稲荷山古墳の発掘調査で出土した副葬品の一つである鉄剣が10年経って腐食が進行したため、保存処理を奈良の元興寺文化財研究所に依頼したことが115文字の金象嵌による銘文発見の第一段階。(X線透過撮影)
2000年の「日本国宝展」出品のため、東京文化財研究所が蛍光X線によるスポット分析をして金材料の純度の分布を調べて一定の傾向があることを発見したのが第二段階。
そして、九州国立博物館でのX線CTスキャナによる3次元解析で鉄剣の内部状況を把握した第三段階。
埋蔵文化財の出土だけでは終わらない長い研究の歴史がありました。また、非破壊検査が欠かせない文化財の調査にはX線等の各種電磁波を用いた手法が重要になってきていることも知りました。
文化財研究の歴史とそれにかかわる分析手法発展のお話だけでも充分魅力的なストーリーですが、この日の講座では更にその後のお話をオマケで聞くことができました。金錯銘鉄剣を復元するプロジェクトは高橋一夫元館長や作刀・象嵌・研磨等の各作業工程の専門家集団が成し遂げた実証実験でしたが、精巧な復元品の製造過程を辿ることによって、上記第二段階の金材料分布をどう解釈するかに関して、講師の野中さんから新しいお考えの一端を伺いました。
今回のプレミアム講座の受付風景です。
会員の新年度に向けての更新手続きは、原則としては現金の受け渡し回数を少なくする振込を主にお願いしていますが、日曜日限定の友の会受付カウンターや今回のような会員向けイベントでも可能な限り手続きいただく機会を用意します。今回も会場前での更新手続きに一部の方に応じていただきました。 まだ更新されてない方はお早めにお願いします。 (nimo)