最初の見学先は「秩父銘仙館」。秩父銘仙の歴史や製作工程について詳しく知ることが出来ます。体験工房もあり外国の青年男女グループが熱心に受講していました。
この建物は、秩父織物の新製品として注目を集めつつあった銘仙の織物デザインの技術向上を目指す業界の期待を担って、埼玉県繊維工業試験場として昭和5年に建てられました。当時の最先端の建築技法を取り入れたモダンな建物は、試験場としての使命を終えた後も、国指定の有形登録文化財として後世に遺され活用されています。
アーチ形の巨大なポーチ・連続した縦長の窓・大谷石積腰壁など帝国ホテルを設計したF.Lライト風の重厚な外観と装飾的な様式の華やかな内装の対比が目を引く
銘仙館を訪ねた後は、江戸時代から続く絹織物と昭和期に活況を呈した秩父銘仙が育んだ街並みを歩きました。ご案内は秩父市文化財審議委員で建造物を担当される千島公一氏にお願いしました。仲介していただいた秩父市おもてなし観光公社の柳マネージャーも帯同してくださいました。
スタートは秩父神社大祭御旅所から、正面に妙見様のお使いとされる霊亀が祀られ、ここに町内各所からの屋台が集まる夜祭の中心地でした。あと1週間もすると祭りの準備で御旅所だけでなく、町内の雰囲気が一変するそうです。
御旅所全景(Googleマップより) お花畑駅踏切と団子坂(Googleマップより)
団子坂は屋台行列の見せ場・踏切通過時は電車架線を外さなければならないから大変
秩父市街地は古くから大宮郷・大宮町と呼ばれ、山間都市として門前町、市場町、宿場町として混合したまま発展し、特に明治中期から昭和初期にかけて、また戦後の一時期に秩父銘仙が全国的な人気を博し、商店街も栄えました。この時代に建築された建物は、現在でもカフェや飲食店、物販店、資料館などとして往時の姿そのままに残されています。蔵造り、出し桁造りなどの伝統的和風建築、昭和初期に流行した看板建築など明治から昭和にかけての商店建築がすべて見られる稀有の街並みです。
買継商通りはその名の通り近郷近在の織物工場が銘仙を持ち込み賑わった地域です。当時の建物が3棟遺っていた
宿場だった秩父往還に沿って、伝統的和風建築が幾つも遺っていた
唯一の江戸期建造の店 武甲酒造総本店と卯建の上がる蔵造りの旧新井商店
旧秩父国際劇場は浅草国際劇場にそっくり。今はイタリアンレストランとして再生。昼食はここで頂きました。
秩父定番の寺社もしっかり見学。赤いつばの帽子被られている方が千島先生
札所13番 慈眼寺
諏訪本宮 正面左 千島先生
秩父神社境内にて
午後は上長瀞の県立自然の博物館を訪ね、紅葉に輝く岩畳を小林主任学芸員の解説を聞きながら贅沢な散策を楽しみました。
県立自然の博物館プロムナード
日本地質学発祥の地記念碑
宮沢賢治歌碑の前で小林主任学芸員より説明を聞く
見事な紅葉の景観のなか岩畳へ
岩肌が縞模様の虎岩の上で
中国長江の景勝地になぞらえた「赤壁」
断層で流れが直角に曲がる小滝の瀬 川下り船頭の見せ場
ポットホールは荒川の流れと岩畳が造り出した芸術作品
伝統工芸・レトロな街並み・神社仏閣・ジオパーク・見ごろの紅葉とまさにてんこ盛りの見学会でした。参加限定30名(kin)