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会員以外にも公開している館と共催の講演会を今回は少し異なった視点で実施しました。静岡理工科大学名誉教授の志村史夫先生をお招きして、”古代鉄と日本刀”の副題で、古代日本の超技術の一端を科学の目を通して分り易く解説していただくものです。参加者は99名でしたが、会員以外の聴講者も多く見られました。講師は、エレクトロニクスの世界で真空管→トランジスタの次の飛躍を担ったマイクロチップ(超小型集積回路)を支える半導体材料の研究者として長年活躍されました。同時に歴史に登場する「モノ」を自称”道楽”研究の対象にして、古代の木造建築、瓦、などと共に鉄の研究に各地を歩いて科学の視点から探究を続けてこられました。
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講演冒頭の映像は「たたら」操業の様子で、日本刀作りに不可欠の和鉄の最高ランク「玉鋼」を「たたら」でつくることを印象深く示します。以下、日本刀の三条件「折れず、曲がらず、よく切れる」を実現するための素材と工程の工夫が現代の半導体技術の考え方にも通ずる断面構造をもたらした結果であることを理解させてもらいました。「たたら鉄」の鉄を”鐵”の漢字で表そうという講師の思いは、鉄こそ(金銀を超えて)金属の王なる哉という主張です。志村先生のモノヅクリへの熱意と造詣がお話の端々に表現されて、古いものを大切にする精神につながっているように感じます。「温故知新」の4字熟語を「温故知真」または「温故知心」と読み替えるというお話も先生の思いを象徴しているのでしょう。
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今回のお話の技術的詳細を初め、他の分野の「古代日本の超技術」も盛り沢山に詰まった著書も紹介されました。写真のカバーにある講談社ブルーバックス B-1797です。志村史夫先生は、中学・高校時代に浦和で過ごされて昔の大宮公園の記憶も残っているとのこと。久し振りの公園風景も楽しまれたというオマケが付きました。
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