「まち歩き研究会」主催の「日本一小さな市―蕨の歴史と文化」が2017年6月23日に開催されました。午前10時、JR蕨駅に29名が参集。今回は、蕨駅東口⇒塚越稲荷社⇒市民公園(休憩)⇒陸橋⇒遊歩道⇒河鍋暁斎記念美術館⇒善光寺道⇒土橋公園⇒中山道⇒蕨市立歴史民俗資料館⇒三学院⇒和楽備神社⇒蕨城跡⇒蕨駅西というコースで蕨市内をほぼ1周します。
最初に寄ったのは駅から15分ほどにある「塚越神社」。6メートルほどの小山の上に稲荷神社があります。伝承ではこの山は「経塚」で、旅の出家僧お告げによりこの地に法華経一万部を埋納して経塚を築いたもので、塚腰(塚越)というこの地区の地名の由来となったといわれています。経塚がこれほど大きいものでしょうか。
神社内には定正寺という観音霊場のお寺や同地の機織業の発展に尽くしたという高橋新五郎を祀った機神社などもあります。かつて綿畑などのひろがるのどかな農村地帯だった頃がしのばれます。たまたまこの日居合わせた地元の有志の方たちがこの寺社の管理を自主的に行っている方たちで、本堂に案内いただき、創建由来や観音菩薩の厨子などについて解説していただきました。最後には全員が御開帳記念の手ぬぐいまでいただきました。
JRの線路をわたり、用水路の跡を利用した遊歩道にでます。ほとんど埋め立てられていますが、このように用水の跡がかなり残っています。低湿地だったことがわかります。やがて(財)河鍋暁斎記念美術館へ。河鍋暁斎は幕末から明治にかけて活躍した狩野派の人気絵師で、道釈人物画から浮世絵版画、戯画・風刺画まで幅広い作品を描きました。記念美術館は1977年に暁斎の曾孫にあたる河鍋楠美氏が自宅を改装して開館したもので、同館では肉筆、版画などの完成作品のほか、下絵、画稿など多数所蔵し、常時40点ほど展示されています。学芸員の方より暁斎の生涯や作品のお話しを、ビデオも含めて、じっくり聞くことができました。
ついで、旧家に残る庚申塔(道しるべ)のある「善光寺道」を通って土橋公園で昼食休憩。午後、静かな通りに雰囲気の残る旧中山道に到着、「蕨市立歴史民俗資料館・蕨本陣跡」へ。蕨宿の繁栄を示すような大きな宿場通りジオラマや資料を見学しました。
同じ中山道に続く参道を通って三学院へ、この寺は金亀山極楽寺と称し、真言宗智山派。本尊は平安後期の慈覚大師作と伝えられる十一面観音で山門前には六地蔵などのおさめた大きな地蔵堂があり、ここで記念撮影をしました。
最後に、和楽備(わらび)神社と蕨城跡をめぐってから蕨駅西口にもどり、一周見学会を終了しました。