今年度も、当館の学芸員さんを講師にお迎えする”プレミアム講座”を会員限定で始めました。第一回目は企画部門でお世話になっている西口正純主席学芸主幹です。この時期としては比較的涼しい午後のひととき、85名が参加しました。
西口さんは考古学、特に遺跡発掘調査に関するお仕事を専門とされています。東北(宮城県)での震災復興支援で感じられた多賀城と埼玉とのつながりを切り口として、「倭王武と蝦夷」というタイトルでお願いしました。震災復興支援では、多賀城(山王遺跡)の調査や南三陸町の新井田館跡の調査、石巻市の立浜貝塚の調査にも成果を上げておられます。それらの調査との関連で、今回特に示されたことが、宋書倭国伝に記される倭王武(雄略天皇)が毛人(えみし)を平定する活動というものが、さきたま古墳群の稲荷山古墳から出土した金錯銘鉄剣に刻まれたワカタケル大王(雄略天皇)との関連を想起させ、律令体制より前の5世紀ころ、武蔵から東北地方に向かうヤマト政権の活発な動きを考えさせられます。
講座の前半では、県のいろいろな博物館等での経歴も自己紹介されました。当館には3回目の勤務になるそうで、学芸職員のキャリアの例を知る上でも大変参考になりました。
次回は、もうすぐの8月3日(水)、特別展関連の「高麗郡1300年」を予定しています。(nimo)