前半の講演では、正倉院御物として収蔵される楽器の希少性・重要性を歴史的に解説。「箏」「琴」「コト」の正確な意味を特に指摘されました。正面脇に展示された代表的な「コト」を一つずつ説明され、後半には生演奏の素晴らしい音色に聴き入る至福の時間をいただきました。最後には、参加者が楽器にも触れられる機会をもらう斬新な講演会になりました。
お話の中で、雅楽の不変・一貫性と筝曲の世界の八橋検校、宮城道雄の変革性、が対照的に感じ取れました。また、日本音楽が融通無碍のように見えながらも整合性を保つように受け止められ、西洋音楽に慣れた現代人として不思議な感覚を抱いた方も多かったのではないでしょうか?
ところで、今回の講演会に使用した仮設ステージは、6年前に能楽のワークショップを当会で実施した際に、会員多数の協力で手作りしたサイコロ型のステージです。その後、死蔵状態になっていたものの一部を利用しました。思いがけない活用の機会を得た喜びも付け加えます。 (nimo)